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ソバラ屋 ネットショップ Blog

2021/04/12 16:03




万年筆の「ペン先」あたりのあれこれ

多くのメーカーの多くの万年筆のペン先(筆記部分)には文字が色々彫ってありますよね。
例えば、写真の万年筆は「プラチナ万年筆の#3776」ですが
一番上の#3776の文字は「品名」、2段目の「P」のロゴは、プラチナさんのロゴとなります。
そして、その下の「14K」「B」これが大切なサイン。この万年筆の特徴を表す刻印となります。

「14K」とは14金(ゴールド)という意味です。純金(金の含有量99.99%以上)が24kですから、14Kは金の含有量が58%となります。
(金の含有量の話を掘り下げても長くなるので、ここはサラっと^^;)
最近の万年筆は14Kのペン先が多い印象がありますが、18Kや21Kってペン先もありますし、一度だけですが24Kのペン先の万年筆をお客様から見せていただいたことがあります。
いまでこそ、工業技術が発展しペン先に金を使わない安価な万年筆がありますが、昔は金の「腐食しない」「柔らかい」といった特徴から適度な筆圧で書くために、またインクに濡れても腐食しない為にペン先には金を使っていました。だから万年筆は価格も高くなり「高級筆記具」となったのでしょう。

「B」これは、ペン先の太さを表す記号です。
ペン先には主に「F(細字)」「M(中字)」がありますが、写真の「B(太字)」などの様に「EF(極細)」や「SF(柔らかい細字)」といった沢山のペン先を持ったシリーズも存在します。
多くのペンを試筆し、自分に合ったペン先を見つけてやることが大切です。
また、ボールペンの細字(0.7)の様にメーカーを越えてある程度統一されて太さがあるわけではなく、万年筆の場合「ウチのメーカーではこれがF(細字)」とメーカーによっても太さがまちまちになります。ますます、試筆が必要ですね(笑)
 
「ペンポイント」
ペン先の先端をペンポイントと呼び、ここは金よりも硬い合金が使われています。当然ですが、このペンポイントの大きさがそのまま書いた時の文字の太さとなります。

「ハート穴」
ペンの中心付近でスリットを止める為に開けられた穴を、ハート穴と呼びます。写真の様に本当に「ハート」の形をしていたのでそのように呼ぶのですが、最近のペン先は殆ど丸い穴が開いています。穴の大きさが大きいほどペン先がよくしなり柔らかなペン先になります。最近は筆圧が強い方が多いので穴が無いペン先も存在します。

「スリット」
ペン先の切れ目のことです。インクはこの切れ目を伝ってペンポイントから紙へと運ばれます。スリットが長い程ペンがよくしなり柔らかいペン先になります。また、スリットの間隔が大きいとインクの出が良くなりますがこの微妙な開き具合の調整が重要で、強い筆圧をかけすぎるとスリットが開いたままになりインクが必要以上に出てしまうことになります。

「ペン芯」
万年筆のペン先にインクを送るための部品です。写真でいうと金色のペン先の裏にある黒いプラスチックの部分の名称で、万年筆にとってはとても大切な役割を果たしています。
文字を次から次へ適切なインクの量で書けるのはこの部品の役割が重要で、毛細管現象を利用した仕組みになっています。万年筆の心臓と呼ばれる部品でもあり、しばらく使わなくなった万年筆に新しいカートリッジを差してもインクが出ないのはこの部分の古いインクが固まって目詰まりを起こしていることがほとんどです。